第六十九話 あっけない病名

 低カリウム血漿という症状が自分の命さえ奪う怖い症状でありながら、また、それほど発見が困難な病気でないのに、突き止めることができなかった。。山梨県に戻るとネットで疑わしいと言われた腎臓内科をみてくださるだろう専門の医師をしらみつぶしに調べた。いつ再発の可能性があるかわからない。自分の直感を信じ、東京都立川市にある国立病院にて執務しているM医師のもとへ尋ねることにした。病院の受付にて腎臓内科のM先生の診察を受けたい旨を伝えると、M先生に関しては完全予約制で早い診察でも一ヶ月近く予約はとれないと言われた。大阪でのことを事細かく事務の方に伝え一刻も早く先生に診察して欲しいと懇願して、最後の患者さんが終わった後でよければ診察してくださることになり数時間待つことにした。
M先生の診察の時間を迎え、ここに至るまでの数ヶ月、数年間の経緯を聞いたM先生は、「今から検査はしますが、間違いなく病名はバセドウ病です。」と断言した。これまであらゆる検査を行って一度も指摘されなかったバセドウ病を問診だけで断言した。思いもよらない病名にただただ驚いた。M先生の所見はまず数ヶ月前にふくらはぎに痛みがはしり、意味もなく体が震えだし、運動もしていないし暑くもないのに大量の発汗が続く、体重が一気に減少する。このことだけでもまずは甲状腺を疑うべきであると言われた。さらに血液検査を行えば今回の症状への説明もつく。炭水化物の多量摂取により低カリウム血漿との合併症を起こし全身の麻痺状態『同期性四肢麻痺』を起こしたのが今回の症状だったらしい。 続けて「私はバセドウ病の専門医ではないので、専門である内分泌科の専門医を紹介するのでまずは検査をしてきてください。」と伝えられ検査をすることになる。すると検査と言っても血液検査、心電図といった簡単な検査しかせず、こんな簡単な検査で今まで苦しんできて病気がわかるの?と疑いももった。

 検査結果が出て診察室に呼ばれると紹介された内分泌科の専門医S先生がいらっしゃり、温厚そうなM先生とは好対照でぶっきらぼうな雰囲気のS先生であった。「まずは検査結果から、M医師からも言われたと思いますがあなたはバセドウ病です。治療法としては手術も考えられますが、投薬治療を進める。」等々淡々と話された。完治にはどれぐらいかかるのか尋ねると最短でも5年、人によって様々だが10年、20年かかる人もザラらしい。仕事への復帰に関しても仕事内容によっても異なるが舞台への復帰は現段階では見通しがつかないと言われた。当然こんな診察結果を突きつけられた直後はこの話を受け止めることもできず私が不審感をもった表情をしたのかもしれないが診察の最後にS医師から一言、「もし君がセカンドオピニオンを求めるのであれば別の病院を紹介しますよ。」と言われたが私は「是非とも先生に診てもらいたいので宜しくお願いします。」と伝え次回診察予約して帰宅した。

 しかし原因がはっきりしてからは気持ちが前向きになり、投薬の効果もあり減少続きであった体重も一ヶ月で10キロ近く戻り体も自然に動くようになってきた。S医師からも「処方箋があっているみたいなので当面様子をみていきましょう」と伝えられ治療は順調にきてることもあり思ったより早い復帰が出来るかもしれないと思えるほどだった。けれどもそうは簡単にはいかなかった。気持ちと体が噛み合わず腹立たしい時もあったが、焦らず手伝えることは積極的に行い社に顔を出し、徐々に社会復帰出来る希望がわいてきた。

提供:周防猿まわしの会